堆肥の話(2)
今回は「育苗」の話から。
一部の野菜はあらかじめポットなどで苗を作ってから畑に定植をします。トマト、きゅうり、ピーマンなどの果菜類は春先にビニールハウスで育苗するのが一般的です。このとき使うのが「培養土」と呼ばれる土です。
そもそも堆肥作りに興味を持った一番最初のきっかけはこの培養土をどうするか迷っていた時でした。せっかく化学肥料や農薬を使わずに野菜を作るのに、その苗を作るための土で化学肥料の入った市販の培養土は使いたくありません(高いし!)。でも畑の土をそのまま使って育苗してもろくな苗が出来ませんでした。うちの畑の土がよくなかったのもありますが、畑の土をポットに入れて育苗するのはかなり無理があるというのは後日知りました。
ちょっと話が変わりますが、前にインドネシアの知り合いから面白い話を聞きました。
その人の奥さんは日本人で、お子さんが三人。一人の子はインドネシア、二人は日本で出産したそうです。基本的に日本に住んでおりたまにインドネシアに行くらしいのですが、面白いことに日本で生まれた子供は必ずと言っていいほどお腹を壊すのにインドネシアで生まれた子供はお腹を壊すことがないらしいのです。その人は原因は水の違いだと言っていました。
確かに日本人が東南アジアの水でお腹を壊すことはよくあります。ではなぜ同じ両親から生まれた子供で違いが出るのでしょうか...?
これはズバリ、腸内細菌の違いだと思います。
赤ん坊は胎内にいる間は無菌状態ですが、出産直後に触れる最初の環境で腸内細菌が決まるそうです。最初に出会った水がその子のお腹の中の最近の構成を決めてしまう。
これってつまり、植物も同じじゃないだろうか?と思っていました。
だから種が水分を含んで根っこを出して最初に出会った土、そこにいる土壌微生物が苗質を決めると橋本先生が言っていたのはとても腑に落ちる感じがしました。
では良い苗とはどんな苗か?
これは甘やかしすぎず、いじけさせずと言われています。
たまにホームセンターや道の駅でとてつもなく立派な苗を見ます。葉は緑が濃く、葉っぱが大きく、茎がとても太い、、、それなのにポットは小さく地上部(茎と葉っぱ)と地下部(根)のバランスが明らかにおかしい苗。たぶん培養土にリッチに肥料が入っていたか、後で液肥をやったものだと思いますが、甘やかしすぎの苗は厳しい環境に植えられるとまともに生育できません、なんか本当に人間みたい(笑)。かといって最初から栄養失調の苗もダメです、うちは最初これで失敗しました、超スパルタの環境で育った苗はそのまま消えて行きました。。。
甘やかせず、いじけさせず、さらにたくさんの微生物のいる培養土。
「苗半作」という言葉もあるくらい、いい苗ができるかどうかでその後の勝負が決まります。まさに三つ子の魂百まで。。。
そこで堆肥です。
ー前回書いたように大量の微生物が含まれている堆肥を含んだ培養土は根っこのファーストコンタクトとしては最適な環境です。
ー養分については複数種類の堆肥を混ぜて使うことで、養分・ミネラルバランスが取れるとのことで四種類の堆肥をミックスします。
ー忘れがちですが根っこは空気を求めています。ということで空隙を確保するような資材もプラスするというのを橋本先生の講義で教わりました。
ということで来年の春の苗作りに向けて三種類の堆肥作りを進めています。
籾殻を主体とした堆肥、生物性が高い。
落ち葉で作った堆肥、多くの微生物とミネラルが含まれます。
肥料の持ちをよくした土の多い堆肥。
それとバーク(樹皮)堆肥、これについては針葉樹が多いここ東濃地区ではいいものができないので市販の広葉樹で作ったバーク堆肥を使うことにします。
来春はこの堆肥を使って培養土を作り、いい苗を作りたいと思います。
続きは、また雨の日に。