堆肥の話 (1)
五段農園では完熟堆肥作りにこだわろうと思っています。
まずは、そもそも野菜(植物)は誰が育てているのか?考えてみると、人間ではないということに改めて気付きます。人間はその環境を整えているだけ。排水をよくするために畝を作る、栄養分を競合する雑草を抜く、根をまっすぐ伸ばすために耕す。。。
これらはすべて環境づくりであって人間に「土」は作れないんだなーと思いました。
土はそもそも作れるものではないのですが、植物の根っこに一番近い環境を整備してくれるのは「微生物」のおかげです。微生物が大きな土の塊を小さくして「団粒構造」を作り、根っこにとって重要な水と空気の流れを良くしています。空気は根っこにとってもとても重要です、土の中なので忘れそうになりますが、硬くしまった土では根っこに空気がいかないため植物はまともに生育できません。では微生物中心でどうやって畑を作っていけばいいか?
その答えが堆肥だと思います。
では堆肥(たいひ)とはなんのことでしょうか?
これは人間の食べる食事に例えるとわかりやすいです。
堆肥はずばり「ご飯とおかず」です。対して化学肥料は「サプリメント」、みたいな感じ。
人間の腸の中には腸内細菌がたくさんいます、いいご飯とおかずを食べていれば腸内細菌が元気になって人も元気、いいウンチが出ます。サプリメントは要素的には必要なものが入っていますが腸内細菌的にはどうでしょうか?いいウンチが出るでしょうか?
畑に置き換えても全く同じです。
土の中には大量の微生物がいます、植物用のサプリメント的な養分を与えられても微生物が元気にはなりません。例えば窒素肥料を大量に与えた場合、土中の炭素資材を一気に使ってしまい、土は硬くなってしまい根の張りが悪くなり、最終的な野菜の生育も悪くなります。一時的に植物が元気に育ったとしても永続的な栽培にはならないのです。だからずっとサプリメンをとやり続けるしかなくなりますが、その結果土の中の微生物は減るか、偏るかしてしまい非常に弱い構造になってしまうのです。
ただ堆肥と言っても品質が様々あります。
家畜(牛・豚・鳥)の糞を使った未発酵堆肥は有機物の発酵が十分でなく、腐っている場合があります、それらはアンモニアによる悪臭もあります。また窒素分が多いため、野菜の緑が濃くなりすぎたり、病気・害虫の発生につながる恐れもあります。余分な窒素分が川に流れることによる環境汚染も引き起こします。そして何より未熟な堆肥は畑に入れてから2〜3ヶ月放置してからでないと種まき・植え付けが出来ません!これでは計画的な生産はできません。
そこでこれを温度60度以上にあげて発酵管理していれば問題はないのですが、さらに原料を吟味してCN比という炭素:窒素のバランスを整えてあげることで、美味しい野菜作りができる良質の完熟堆肥ができます。
ということで堆肥作りを学ぶために、三重の橋本力男先生のコンポスト学校にこの4月から通っています。全20回の講義で毎回テスト(!)もあるので久しぶりに勉強モードです。(中間テストは落第だと追試があります)
6月から五段農園では二種類の堆肥を作りました。しかし残念ながら両方とも自分の中では失敗作でした。そこらへんについてはまた次回。