培養土のジレンマ

こんにちは、けんど君です!今回は僕についてのお話です。

 

まだまだ寒い黒川、本格的な種まきはまだですが今日はけんど君の試験をやってみました。

「培養土」はその目指すところで色々な違いがあります。

 例えばホームセンターで売っている一般的な培養土は、ピートモス(保水性に優れる)、ココピート(通気性に優れる)、バーク堆肥(樹皮の堆肥)、赤玉土(保水性)、バーミキュライト・パーライト(通気性に優れる)などとても軽い資材を混ぜて作っていますが、これらの資材はほとんど養分を含んでいないのでこれに化成肥料でN(窒素)P(リン)K(カリウム)などの養分を加えています。
 軽い資材で作っているので流通に優れます、買ってから持ち帰りも楽です。でも乾いた培養土は水を弾くので最初に広げて水を含ませてからポットに詰めないといつまでたっても芯に水が染みずに、水をやってるのに枯れる・やたら水切れが早いということが起きます。

底面吸水しました

 肥料面もジレンマがあります、たくさんの肥料を入れて長持ちさせたいところですが養分が濃いと効き過ぎて根に障害が出たり、肥満のようになってしまいます。またCEC(陽イオン交換容量:養分を保持する力)の小さい資材が多いのでたくさん入れた肥料も水やりで流亡してしまいます。だからトマト、ナスなどの2ヶ月位育苗にかかるものだと途中で養分不足が発生するので液肥などの追肥が必要になります。培養土の中でも「玉ねぎ用」だけが別に売られていることがありますが、これは玉ねぎの育苗に時間がかかるため肥効を長持ちさせるのにゼオライトというCECの高い資材が含まれているためです。

では有機栽培に向いた培養土はどんなものでしょうか?
 保水性、通気性などをよくする資材はほとんど上と同じものを使ってできます、そして化成肥料の代わりの養分は堆肥になります。この堆肥の品質がとても大事です、もし閉鎖された環境で未熟な堆肥を材料にしてしまうと障害が出てしまうのです。だから一般的な有機培養土は比較的養分の少ない落ち葉堆肥、バーク堆肥などを使ったものが多くなっています。でもこれだと肥効が短い。1ヶ月くらいで養分を使い切ってしまうので液肥が必要、となりますが化成肥料と比べて有機のそれは効果が遅い。
 肥効が2ヶ月もつ培養土なら肥料分がそれなりに高いものが必要となりますが、絶対に完熟していなくてはなりません。そして無駄に炭素分が残っているのも窒素飢餓を起こすことになってしまいます。つまりC/N比のバランスが取れた、完熟した堆肥が必要です。またせっかくの肥料もCECの低い資材ばかりだと流亡してしまいます。

 けんど君は4種類の堆肥を混ぜて作っています、そしてこの中で要となるのが「土ぼかし」という堆肥です、ぼかしなのか堆肥なのか紛らわしいですが、養分の高い堆肥です。土ぼかしは仕込みの段階から土を入れているので、養分が土に吸着されます。この堆肥は土が多いため自重で嫌気的になりやすく、その重さで切り返しが大変なものです。他には2年以上寝かせた落ち葉堆肥、通気性を高めるモミガラ堆肥、化学薬品などを使わずに熟成させた広葉樹のバーク堆肥。加えて鹿沼土、パーライト、バーミキュライトなどの通気性資材を加えます。

 けんど君、今回のタネまで感じたのは「重い」ということ(笑)。他の培養土袋は片手で持ち上げられるけど、けんど君は無理!12kg/20L位あります。比重0.6!化成肥料培養土の2倍はある?でもそのおかげで、最初に水を含ませる必要もなく、育苗期間中の水管理もとても楽です。そして最も大事なのが微生物の多様性、4種類の堆肥を混ぜているためそれぞれの堆肥で増えた微生物たちが合わさっています。

 植物は最初に根を出したときに出会った環境で、その後の人生(?)設計図を決めます。化成肥料培養土のようなリッチな肥料に囲まれて、柔らかく根が伸ばしやすい空気がたくさん含まれたふかふかの土に最初に触れると「肥料もいっぱいあるし、根も伸ばしやすいから少なくていいな!それなら上(茎葉)を伸ばそう」となってしまいます。けんど君の場合はどうでしょう、肥料は含まれていますが、化成肥料のように吸収しやすいものばかりではありません。ク溶性(根酸で溶け出す)の養分が多く最初は養分が吸えずに焦ります、そして土は色々な大きさの粒子がある複雑な構成、たぶん「やばい、がんばって養分を吸収しないと!空気のある隙間だらけじゃ無いから根をたくさん伸ばさないと、養分を効率よく吸うために根毛を出して、地上部は後回しだ〜」と言ったところでしょうか?

左:化成肥料培養土 右:けんど君2017

有機栽培の苗作りで大事なのは、培養土に化成肥料が入っていないこと。ではなく、その後の畑の環境に向いた根を張らせることです。本圃が堆肥、肥料分が少ない圃場なのに左のような苗だと活着するのに時間がかかります、そして三つ子の魂百までというように、やっぱり最初に甘やかされた子はなかなかタフな環境に慣れることができません。「苗半作」を実現するには培養土が一番大事ということです。

けんど君はその手助けが出来るかな、と思ってます。今回の比較はそれを分かりやすく示すためのテストです、というかテストが好きなんです(笑)。昔からこれは良いものだ!と言われても、単体で示されても本当なのかな?と穿った見方をしてしまうクセがあって、客観的には良いものであるデータを示さないと納得いかないので。
という事で四種の培養土でテスト、良くても、悪くても(😱 )結果をお知らせします!比較対象については後ほど。それにしても寒くて発芽うまくいくか不安…

 

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