五段農園

2017


あけましておめでとうございます。
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正月は二年ぶりに実家の秋田に帰ってのんびり過ごしていました。p1010098 

今年は寒くなると言われていましたが、とても暖かく雪が少なくて変な感じでした。スキー場もオープンしているか微妙でしたがなんとか初滑りもできました!

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ちなみにこのスキー場、うちの実家から15分です!

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帰省期間に一冊本を読みました
「古来種野菜を食べてください」

気に止まった言葉たち

・日本の場合、「オーガニックな暮らし」とは、人が真ん中にいるライフスタイル(僕には時としてファッションにも見える)として浸透している。おしゃれだし、素敵だし、なんかこう都会的な感じさえする。(中略)ただ、今この状況では、自分たちが健康で暮らしていくためのオーガニックでしかない。生態系を含むこの日本の環境を保つため、よくするため、それを次世代に残すため、そのために有機野菜を食べる、という意識ではない。

・F1(交配種)についての一節:だけど、改良の始まりは、やっぱりそこも「愛」なんだと呑気に思っている。戦後、食料の確保が困難な時期を体験したおじいちゃん、おばあちゃん世代か、これからの子供達に、ひもじい思いをさせないように進めてきたことでもあるから。
・そうした想いを忘れて、野菜の改良のことだけを問題視するのは、僕ら自身も苦しくなってくる。だって、先祖からの願いだから、想いだから。そして僕らはそれを食べて育ってきたから。これからも、きっと、そう。

・農家さんと同じ胃袋を持とう

・加工品についての一節:うまくいろんなタイミングが合えば国や地方自治体からの支援があるケースもある。加工場を作り、その稼働率もよく、最初は売れるかもしれない。しかし「消費者がその加工品を求めているか?」というところをきちんと問いきれないと、加工品を作って売るということが正しいことかどうかは、わからない。

引用ここまで。

高橋さんは昔から伝統的に伝わる野菜(古来種野菜、と呼ぶ)を売る八百屋さん。僕は種苗部会社に勤めていたので今の日本のタネの事情についてはある程度わかっているつもりだけど、「在来種(=古来種野菜)」に触れる機会は少なくて、「京野菜」とか伝統野菜を作っている人がいるのは知っていたけど、全国各地で細々と種がつながれているのはあまり知らなかった。有機農業を初めて、最初は固定種の自家採種にこだわろう、いずれはタネをたくさん採ってタネの販売もしよう!と思っていたけど、できなかった。

理由は二つ。
一つ目は在来種と出会っていないから。ここが稲作メインということもあるけど、真面目に探していないこともあって在来種との出会いがほとんどない。「福鉄砲」という大豆くらいかな。単なる固定種なら手に入るんだけど、この地にあった在来種があれば作って見たい。

二つ目は種子と製品の品質。駆け出しの有機農家にとって種子の発芽、製品の歩留まりは大事です。やはり固定種のタネの品質はF1に比べて悪い。そして固定種は環境適応性が低い。今回人参を固定種2品種とF1を1品種作って見たけど、まず発芽が違う。ーーーちょっと突っ込んだ話:日本の野菜種子のほとんど(98%以上)が外国産なのは、日本の気候が種取りに向いていないから。昔は人参種子の発芽率なんて65%程度だったんだけど、今や90%程度が当たり前。南米やヨーロッパでタネを採るようになってから発芽率は飛躍的に向上した。高温多湿で梅雨がある日本は、花が咲く時期に湿度が高いため受粉がうまくいかなかったり、病気が多発するのでどうしても発芽が悪くなってしまう。海外での採種は最低3haの面積は必要!となると大量に売れるF1はそれも可能だけど(例えば人参なら1.8tとかになる)、量が売れない固定種は日本で採種するので発芽が悪い。ーーー
そして環境適応について、固定種はひどかった。もともと人参の栽培には全く向かない湿気っぽい畑だったのだけど、F1に比べて歩留まりは1/10以下。そして収穫適期も非常に短く、殆ど出荷できなかった。。。

と悪いことばかり書いているけど、適期に食べた「黒田五寸人参」は香りが強くて、甘くてとても美味しかった。さすが昔からある固定種だ!と思った。

以上のような理由から、僕はF1を使って有機農業をやっています。本当は固定種にこだわりたかったけど、今のところ無理かな、と思っています。もちろん、地にあったいい在来種があれば作りたいけど限られた品種だけかな。

なんとなく有機なのにF1?という葛藤がありましたが、野菜の育種にも関わっていた身としては、F1だからって悪いみたいな言い方しないでほしいな、と思ってやっていました。今回高橋さんの本を読んで、改良の始まりも「愛」というのになんだか癒されました。そう、どんな形であれ愛なんですよ!在来種をつなぐのも、たくさんの人に安定して野菜を届けるのも。だから僕はどんな形の農業も否定しません、ただ日本の農業が続いていけばいいな〜と、ぼんやり思っているくらいです。

ただ、引用の最初にもありますが今の日本の「オーガニック」はなんとなくイメージが先行しているような気がしています。オーガニックはおしゃれ?わかる気もしますが、そこから脱却しないと本当のオーガニックは根付いていかないんじゃないかな。アメリカやヨーロッパのスーパーで見たオーガニックはもっと手軽な感じでした。慣行栽培(農薬とかを使う)の野菜に対して値段が高いのは「健康にいいから」と思っているうちは、厳しいですね。高いぶん、環境税を払っているくらいの誇りを持って(大げさ)いいんじゃないでしょうか?

五段農園の野菜はそんな感じのオーガニックを目指したいと思ってます。おんなじものが毎週届いたり、旬のピークには大量に入っていたり、小さかったり、穴が空いてたり、虫がついてたりすることがあるかもしれませんが、環境には優しいです、ついでに体にも優しいです。
誰かが言っていました「有機農業は世界を変えられないけど、世界を良い方向に向かわせることができる」と。本当その通りだと思います、地道にコツコツ、手の届く範囲から世界を変えるしかありません。

ここまで書いて、高橋さんの意図するところと全く違う方向性に向かっている気がしないでもないですが、、、僕は文才がないのでこういう本を書く人から「言葉」をもらって自分のものにしています。この本にはたくさんの言葉をもらいました。

本年初のブログなんですが、まとまりのない文章ですみません。
今年はちゃんとブログ書くぞ!と毎年思っていますが、書き始めると長いのがダメなところ。まとまりのない文書でもスパッと書いて修正なしでアップしていこうと思います。

今年もよろしくお願いします。

高谷 裕一郎

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