堆肥作り勉強会 「農法」について

農業を始めるにあたってとりあえず無農薬・無化学肥料の有機栽培で始めることは決めていましたが、さらに細分化された農法があることをしりました。

一切の肥料をやらない「無肥料自然栽培」、木質をそのまま肥料でやる「炭素循環農法」、耕しもしない不耕起栽培、土壌の養分を測定して必要な肥料(JAS有機)をあげる理論とか挙げるときりがないほどの農法があります。
研修先は基本的に無肥料自然栽培でやっており、何度か関東の勉強会や圃場見学会にも参加して非常に惹かれていました。植物の持っている力を最大限に引き出すため、肥料を与えず、自家採種を繰り返すことでその土地にあった系統を作り出す農法です。一般的に売っている野菜に比べて色が薄く、あっさりした味で美味しいです。僕もこの方法で農業をやろう!と思っていました。
しかしながら一つ問題があって、育苗用の培養土をどうするか?悩んでいました。市販の育苗土は有機培養土でもそれなりに肥料分を含んでいます。「苗半作」と言われるように苗づくりはその後の植物の成長を決める重要なステージなのですが、そこで肥料を含んだ土で育てては本圃の肥料が少ない条件に対応できないのでは?。自然栽培をやっている人たちは野積みにして5年くらい経った土や、落ち葉を使った踏み込み温床の床を使ったりしているのですが新規就農者にはこれを準備することはできません。。。散々悩んだ末に堆肥を土に混ぜて培養土にしようと思い濃度試験をやってみましたが、土が重すぎて水はけも水持ちもイマイチでした。しょうがないので今年は販売している培土を使って育苗をするしかない!と腹をくくっていました。

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そんな時、ちょうど白川町で「有機農業を考える会」があり堆肥育土研究所の橋本力男さんの講演がありました。植物(野菜)の95%は水分、野菜という「水の容器」を畑のきれいな水で満たせば腐らない、長持ちする野菜ができる。そのためには空気をたくさん含んだ土壌が必要であって「土作りは空気作り」だ!講義は午前午後で全5時間を超える長丁場でしたが、これまで色々考えていたことがガラガラと崩れて再構築されるような衝撃でした!
農業って数値化できないものだと思います、土壌には数億(兆?)の微生物がいて、天候は地域によって違い、土壌構造だって隣の畑とも違っている。だから公式化なんてできないと思っていたのですが橋本さんの講義はまるで微生物の発酵を利用した土の料理のような方法でした。無肥料自然栽培には憧れながらもどこかで肥料の投入なしに野菜を栽培して引き算続きで永続的な栽培は可能なんだろうか?でもよくわからない堆肥を(しかもお金をかけて買って)使うのもどうかな〜と悩んでいた僕の心にどストライクな話でした。

そして幸運なことに1週間後、橋本さんの堆肥作り実習を受けられることになり三重に行ってきました。長くなったのでその話はまた今度書きます。

堆肥作り勉強会 「農法」について” に対して2件のコメントがあります。

  1. 46 より:

    「土作りは空気作り」。最近話すことがあった造園家も土地の土壌改善について同様のことを言っていたのを思い出しました。
    近年の土地造成に伴うコンクリートのU字溝やブロック塀などの設置が、土中の水の排出を妨げ、嫌気性のバクテリアが増えることにより土質が粘土状となり空気の循環も悪化させるそうです。
    (http://www.zoukinoniwa.biz/blog/)

    良かれと思ってやっている最新式(ひと昔前?)のやり方は、何かに特化して他の要素を顧みず、のやり方で、
    周辺環境も視野に入れたトータルな視点から見ると、実は極めて永続性に(かつ機能性にも)欠けるものであるという結果が出始めています。
    一方、昔ながら?の山(高低差)、川(土中の水の流れも)を意識したトータルな土地の作り方というのが実は何世代にも渡って経験的に積み重ねてきた、「非常に合理的かつ機能的」なやり方なのではないかと思います。

    有機農法というのはそのトータル(循環的な)な土地作りの一側面なのではないかと想像する次第ですが、そう考えると「非常に合理的かつ機能的」だったんだな〜と、今更ながらに思いました。。

    1. ユウイチ より:

      ブログ読みました。
      伊勢神宮の話、いろんな気づきがあるんだな〜と思いました。そういえば講義の中で「水やりは空気やりでもある」という話がありました。苗の水やりって実は水が抜けた道に空気が入るそうです。大きな山でも同じことなんですね。

      農業に限らず現代は一元的な見方で問題を解決することが多い気がします、でもそういう劇的な改善方法はどこかでしわ寄せが来るんですよね、農薬しかり、遺伝子組換えしかり。。。短期的な結果は出なくても永続性のある行いを心がけたいものですね〜。

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